企業から内定をもらったものの,「第一志望から内定が出る前にほかの企業から内定をもらってしまった」「あまり志望度が高くないけど1社だけ内定が出たので,早く就活を終わらせたい」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。第一志望以外からの内定の場合,迷ってしまうのは仕方のないことです。しかし,内定を「とりあえず承諾」するのは,マナー・モラル違反となります。そこで今回は,内定と内々定の違いや内定保留の方法などを紹介します。
内定をとりあえず承諾はNG
内定をもらって決断できずにいる場合,「とりあえず承諾して,ほかにいい企業から内定をもらえたら辞退すればいいや」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし,内定をとりあえず承諾するのは,どんな状況でもNGです。ただ,他社と悩んでいる場合や,他社の選考結果を待っている場合は,内定保留の交渉をしても問題ありません。どうして内定をとりあえず承諾するのがNGなのか,詳しく解説していきます。
内定とは労働契約成立を意味する
内定とは,企業が学生に「採用通知」を書面で発行し,学生が企業に対して「入社承諾書」を渡すことです。双方の意思確認がおこなわれ,労働契約が成立することを意味しています。
日本の労働法では,企業が労働者を解雇するにあたって難しいルールが設けられており,簡単に解雇することができません。そのため,内定によって労働契約が成立すると,企業は学生を勝手に解雇できず,一方的な内定取り消しは基本的に違法と見なされます。
また,労働者側は,2週間前の申し出で労働契約の解約が可能と法律で認められています。ただし,アルバイト採用で合格を伝えられた後に辞退するのが失礼にあたるように,新卒の内定を簡単に辞退するのも非常識です。一般常識と照らし合わせて考えると,辞退する可能性が高いのに内定を安易に受けるのはマナー違反になります。
内定と内々定の違い
内定の前段階として,内々定をもらうこともあります。似たような言葉ですが,内定が労働契約の成立なのに対し,内々定は労働契約成立にはあたりません。そのため内々定の時点では,企業も学生も自由に取り消しができます。
ただし,内々定であっても,よほどのことがない限り企業側から取り消しをするケースはありません。内々定が取り消されるとすれば,履歴書などに虚偽の内容を記載した場合や,病気で働けなくなった場合,企業に経営上のやむを得ない問題があった場合などです。労働契約が成立した状態ではありませんが,内々定であってもとりあえず承諾するのはやめましょう。
「とりあえず内定承諾」よりも内定保留の交渉をしてみよう
内定保留をお願いする理由は,必ず本音で話しましょう。せっかく内定をくれた企業に「ほかの企業の結果を待ちたい」「ほかにも内定をもらって迷っている」などと伝えるのは,失礼だと考えてしまうかもしれません。しかし,嘘の理由を伝えるのはNGです。もし嘘をついたことが発覚した場合,印象がかなり悪くなり,他社の選考に影響してしまう可能性すらあります。
学生が就職先を迷うのは当たり前のことです。採用担当者もそれを理解していますから,「他の企業を受けてからでないと決められない」と言うこと自体は失礼にはあたりません。内定承諾を迷っている本当の理由を伝えて誠実に対応すれば,企業側も理解を示してくれるはずです。また,もし仕事内容や働き方に懸念点があるなら,正直に質問することで,対応してもらえる可能性もあります。
まとめ
今回は「とりあえず内定承諾」がNGな理由や,すぐに内定承諾できない場合の対応策を紹介しました。内定であっても内々定であっても,とりあえず内定承諾してしまうのはNGです。内定をもらった時点でまだ迷いがあるのなら,内定保留を交渉してみましょう。内定保留をお願いする際は,必ず本音を伝えて,誠実な対応を心がけてください。