就職活動を成功させたビジネスパーソンの「私の就活体験談」。今回お話を伺ったのは,新卒向け就職エージェント「JobSpring」を運営する株式会社Rootsで働く神宮大空(じんぐう・ひろたか)さんです。
神宮さんは,自分の考えを持った上で2つの就職支援サービスを使い,選考を受けた4社から内定をもらいRootsに就職しました。現在はインサイドセールスの立ち上げを行っています。
就職エージェントの上手な活用方法などについて,神宮さんに伺いました。
目次
股関節の病気が原因で大好きだったサッカーをやめて不登校に
高校時代,2年間不登校だった
——神宮さんの経歴を教えてください。
東京生まれ,東京育ちです。5歳からサッカーをやっていたんですが,親の離婚がきっかけになり経済的な理由で高校のジュニアユースに上がれず,都立高校の部活に入りました。
しかし,股関節の病気が発覚して,今すぐサッカー部をやめなければいけなくなってしまいました。
それで「僕,何しに学校行っているんだろう」となってしまい,2年間不登校になりました。3年生のときだけめちゃめちゃ勉強して,指定校推薦もらって大学に入学しました。
週6回アルバイトをしていた
大学は東洋大学の哲学科にいて,宗教や心理学を勉強していました。母子家庭だったこともあり,学費を全部自分で払っていたので,アルバイトを週6回くらいしていました。
——アルバイトはどんなことをしていましたか?
マクドナルドで高校1年生から7年間アルバイトしていて,朝5時から7時まで働いて,大学に行って,夜も働くといったこともありました。ほかには進学塾の集団授業の講師で理科の授業をやったり,サッカーのコーチもしていました。毎年扶養ギリギリのラインまで働いている感じでした。
「人材」「ブライダル」「不動産」業界に興味があった
就活塾で20万円を請求される
——就職活動はどうやって始めましたか?
フットサルのサークルの先輩が「就活塾」に参加していて,そこに行ったのがきっかけです。
最初の頃,「自己分析」とかは無料で相談に乗ってくれていたんですが,ある日突然「来週から面接対策をやるのでテキスト代として20万円を持ってきてください」と言われて…。そのタイミングで「就活塾にお金を払うのは無理」ってなって辞めて,自分で就活を始めることにしました。
自分の考え方が合っているのかわからなかった
——就職エージェントはどこを使いましたか?
別の先輩が「リアステージ」さんを利用して内定をもらっていて,それで声をかけられたこともあり,3年生の9月くらいからリアステージなどの就職エージェントを使いました。
元々,「人材」「ブライダル」「不動産」業界に興味があったんです。
——どうしてその業界なんですか?
人生のターニングポイントは「進学」「就職」「結婚」「出産」「家を買う」の5つだと思っていて,このうち「進学(教育)」は,中高の社会科の教員免許を持っているからいつでもなれる。「出産」は医療関係で今からは難しいということで,「人材」「ブライダル」「不動産」を見ようと思いました。
その中で「人に影響を与えたい」という気持ちが強くありました。「人材」は相手の要望がある,でも「自分はこうだと思う」みたいに相手を導いていけるのが人材の良さだと思うので人材を選びました。
それで,「中途と新卒どっちだ!?」と考えたときに,中途は意思が固まっている。また,キャリア教育を勉強する中で「日本のキャリア教育が劣っている」ということも知っていたので,「もっと学生にできることはないかな」と思って,「新卒の人材紹介」をやっている会社を見ていました。
ただ,社会を経験していない自分の考え方が合っているかどうかわからなかったので,就職エージェントを利用しました。
——学生の頃から「自分の考え方が正しい」とならなかったんですか!?
僕がそうならなかったのは,高校のとき「空白の2年間」があったからだと思います。病気でサッカー選手になれないという現実を叩きつけられて「自分はここから何をするんだろう」と思っていて…。
そのとき,自分の選択肢を「サッカー選手」だけに狭めていたというか,そこしか見えていなかった自分に気づいたんです。僕はサッカーが好きだったので,サッカー選手がゴールじゃなくて,サッカーと長く付き合っていくことが僕のやりたいことだとわかって。
そうすると,サッカーとの付き合い方は,他にも選択肢があるよなということに気づけました。
だから,就活でも僕はこういうことがしたくて,こういう人になりたいというのはあるけれど,これって選択肢が狭まっているんじゃないかなと思い,選択肢を広げようと就職支援サービスを利用しました。
選考で自分に素直にできたのは良かった
——リアステージさんは使ってみてどうでしたか?
自分の人生の将来設計ができたというのが良かったです。何歳までに結婚したいなとか,何歳までに子どもが欲しくて,どういう家庭を築きたいか,じゃあどういう会社に入らないといけないのかというところで,「ベンチャー企業」というのが明確になりました。
そこで,Rootsの紹介を受けました。
実はその前に「DEiBA」の採用イベント「出会いの場」でたまたまRootsに会っていたんです。そのときすでに「ここにしよう」と決めていて。
——「出会いの場」はどんなサービスでしたか?
1日にグループディスカッションを7分×10回繰り返します。それを参加企業の人事の方がフィードバックするんです。そこにRootsの人事が来ていました。
——何社くらい選考を受けましたか?
僕,説明会自体は150社行っているんです。そのうち選考を受けたのは4社です。
自分で合っているなとか,自分の能力を活かせるなと思った会社を厳選して選考を受けたので,「こう思ってるんです」とか「学校行ってなかったんです」とか素のままの自分で話せました。
「じゃあこれってどう思う?」って聞かれたとき「それはちょっと考えたことがなかったので考えてきます。今はわからないです」みたいに普通に話したり。自分に素直にできたのは良かったです。
それで4社に内定をもらって,Rootsに入社しました。
内定をもらった企業の中には大手人材紹介会社もあって,そこは寮も近所にあって,給料もいい。それに母子家庭で長男だったので親にも恩返ししたいという気持ちもありました。親に泣かれたときは「そう思うよな…」と思いましたが,「自分がやりたいのはこういうことだから」と言って。
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Rootsでの業務内容
週に2〜3回インターンをしていた
——Rootsさんでは内定後にインターンもしていますか?
3月に内定をもらって,そのまま週に2〜3回インターンをやっていました。内定者の頃はエージェントと「管理くん」(採用管理ツール)の営業と人事の3つの業務を担当していました。午前7時から午後11時まで働いていたり。その分,営業で売上をあげてインセンティブももらっていました。
その分,入社したときのプレッシャーがすごかったです。「フルタイムだったらどれだけ成果出すんだ」「インターンのときの倍は上げられるよね」みたいな雰囲気があって(笑)。
「これどうやったら達成するんだろう!?」みたいな目標を去年1年間は追いかけていて,「どうやっても達成が見えない」みたいになっちゃって,それで一時期辛かったときはあります。
インサイドセールスの立ち上げを行う
——現在の仕事内容について教えてください。
現在は,インサイドセールスの立ち上げをしています。
マーケティングでリードを取ってきたもらったもののうち,見込み客に対してナーチャリング(顧客の育成)の施策として,メルマガやセミナー,テレアポなどをしています。
——Rootsさんはどうしたいとかありますか?
会社はあくまで手段だと思うので,ここの会社はこういう理念を持っていて,一緒に大きくしようという気持ちがあります。ただ,これが自分の方向とズレてくるのであれば,自分と同じ方向性の船に乗り換えるというのは思っています。
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これから就職活動をする人たちへ
エージェントの言葉を鵜呑みにしてはいけない
——就職エージェントは使った方がいいと思いますか?
僕は使った方がいいと思っています。
ただ,エージェントの言葉を鵜呑みにしてはいけないとも思っています。また,使うサービスも選ばないといけない。
——どんなサービスを使うと良いですか?
Rootsは学生さんに寄り添うみたいな感じじゃないですか(編注:Rootsの新卒向け就職支援サービス「JobSpring」はひとりあたりのカウンセリングが丁寧で知られています)。
一方,R社やP社は利益体質ですよね…。そういうのはちゃんと見たほうがいいと思います。ふわふわしている学生さんほど「紹介されていいと思っちゃった」みたいに決まっていくイメージがあるので。
でも,そこまで見るのは難しいと思うので,自分の考えも持っていって主張すべきだと思います。
——具体的にはどうすると良いと思いますか?
僕は2社使って,セカンドオピニオンみたいな感じで使いました。お互いのサービスに「このエージェント使っていて,こういう意見をもらいました,どう思いますか?」というのを言っていました。
学生のとき,やりたいことを100個書いた
信頼できるエージェントもいるので,自分の将来を考えることが大切です。僕は学生のとき定量的にするというのをやっていました。「何歳までにどうなる」みたいなやりたいことを100個書いたんですよ。「何歳までに結婚する」「何歳までに家を買って」みたいに定量的に書いて。
「これが好きだから」「こういう経験があるから」みたいに,自分の過去の経験や今やりたいことで将来を決めるのではなくて,自分の未来に目を向けた上でエージェントを使うのが良いと思います。
過去の経験がダメというわけじゃなくて,それはあくまでAという会社に入るための道具のひとつにしかならないので,足りなかったら社会人になってからそのスキルを身に付ければいいんです。未来からトップダウンで「こういうことをやっていきたいから」という手段でAという会社を選ぶ。
それで,この船(Aという会社)に乗るためのチケットを過去の経験から見つけ出す,足りないものは身に付けるというのを,企業に対してちゃんと伝えるべきだと思っています。
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