ドラッグストア業界は,小売業界のなかで数少ない成長している業界です。ただ,店舗数が供給過多は続いており,M&Aによる再編が活発化しています(ウエルシアHD,マツモトキヨシHDなど)。
ここでは,ドラッグストア業界における主要企業のランキング,採用情報について紹介します。
目次
ドラッグストア業界:マスク特需も,訪日観光客に不透明感
順位 | 企業名 | 売上高 |
1位 | ウエルシアHD | 8,682億円 |
2位 | ツルハHD | 8,410億円 |
3位 | コスモス薬品 | 6,844億円 |
4位 | サンドラッグ | 8,682億円 |
5位 | マツモトキヨシHD | 5,905億円 |
6位 | スギHD | 5,419億円 |
7位 | ココカラファイン | 4,008億円 |
概要
新型コロナウイルスの感染拡大により,マスクなどの衛生関連商品が売れ,軒並み増収となりました。一方,訪日観光客が減ったことにより,見通しが不透明になってきています。
ドラッグストア業界の現在のシェア1位は,ウエルシアホールディングスです。そして,ツルハホールディングス(「ツルハドラッグ」「薬の福太郎」など),コスモス薬品が続きます。
ほか,上記企業以外にも,「サツドラHD」(北海道),「薬王堂」(東北),「クリエイトSDHD」(神奈川),「キリン堂HD」(関西)など地方を中心に展開している企業も多数あります。
業界としては,調剤薬局併設店舗を増やしたり,一般用医薬品(処方箋を必要とせずに購入できる医薬品)を販売するために薬剤師や登録販売者の人材確保に注力するなどを行っている企業が多いです。
また,各社多数の店舗を既に展開しているため,好条件の出店場所も限られてきており,M&Aによるシェア拡大路線に走る企業が増加しました。M&Aをすることで,新規店舗出店だけでなく,人材確保や各社の強みをかけ合わせたサービス展開が期待できます。
2019年には,ココカラファインとマツモトキヨシホールディングスの経営統合を発表しました。この2社の統合によってグループ売上高は1兆円を超えることになり,業界シェア1位となる見込みです。
関連動画
新卒向け就活イベント「MeetsCompany」のYouTubeチャンネル「内定チャンネル」では,「業界研究!ドラッグストア業界編(マツキヨ/ツルハ/サンドラッグ…など)」において,ドラッグストアの利益構造,その背景にある「少子高齢化」について解説しています。
具体的な例として,日本は少子高齢化が進んでおり,高齢の方ほど医療を利用するため,薬品を取り扱っているドラッグストア業界の業績が伸びている点があげられました。
1位:ウエルシアHD
初任給 | 21.5万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | N/A |
3年後離職率 | N/A |
平均勤続年数 | N/A |
有給消化年平均 | N/A |
公式サイト | ウエルシアホールディングス |
ウエルシアホールディングスの事業戦略の特徴は「調剤併設店の増加」「新規出店」です。
調剤併設店舗は2019年から2020年で138店舗増加し,1,422店舗にまで拡大。処方箋受付枚数は,既存店の伸長と合わせて前年度比119.8%でした。
出店戦略については,2019年6月の「B.B.O.N」(ビビオン)のM&Aを始め,積極的に拡大。新規出店と合わせて134店舗純増しています。
「ウエルシア薬局薬剤師」の「【ES 履歴書】やってはいけない志望動機 3選」では,志望動機をつくるときに陥りがちな3つのミスについて解説しています。
- 説明会コピーの志望動機
- もらえるものが魅力
- 締まりのない文章
これらのミスを理解した上で,「原体験を自分の言葉で伝える」ことが大切だといいます。
2位:ツルハHD
初任給 | 22.0万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | N/A |
3年後離職率 | N/A |
平均勤続年数 | N/A |
有給消化年平均 | N/A |
公式サイト | ツルハホールディングス |
ツルハホールディングスは,北海道から始まった薬局で,北海道,東北ブロックにおけるシェアはNo.1です。「くすりの福太郎」「ハーティウォンツ」などを買収し,規模を全国に拡大しています。
同じ地区に複数の店舗を構えるドミナントを形成する経営戦略をとっており,また低価格の日用品などのPB商品の開発に力を入れており,売上げも好調です。
店舗全体の約2割が調剤併設になっており,今後も調剤併設店を積極的に進めていますので,薬剤師の採用も積極的に行っています。
3位:コスモス薬品
初任給 | 19.8万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | N/A |
3年後離職率 | N/A |
平均勤続年数 | N/A |
有給消化年平均 | N/A |
公式サイト | コスモス薬品 |
コスモス薬品は九州発(福岡県)のドラッグストアです。医薬品だけでなく,多様な日用品を安価で提供する「エブリデイ・ロー・プライス」戦略が特徴です。消費者目線で見ると,ドラッグストアというよりも医薬品や日用雑貨を取り扱うスーパーマーケットに近いといえるでしょう。
特に食品売上高の構成比が高く,全体の56%を占めています(2017年実績)。ウエルシアホールディングス(21.7%),マツモトキヨシHD(9.7%)と比較すると,食品比率が高いことがわかります。
さらに,コロナウイルスの影響でマスクや消毒等関連商品の需要が急騰したほか,「巣ごもり需要」で食品や日用品の売上が拡大しました。これが医薬品だけでなく,多様な日用品を取り扱う「メガドラッグストア型」の店舗を運営するコスモス薬品にとっては大きな追い風となっています。
4位:サンドラッグ
初任給 | 20.7万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | N/A |
3年後離職率 | N/A |
平均勤続年数 | N/A |
有給消化年平均 | N/A |
公式サイト | サンドラッグ |
サンドラッグの特徴的な運営システムに「1店舗2ライン制」があります。これは,ひとつの店舗に接客・販売業務を担当する販売ラインと,商品・売り場を管理する運営ラインに別れて配置する方法で,ほとんどの薬剤師はカウンセリングに専念できるよう,販売ラインに配置されます。
駅前型と郊外型の地域に合わせた店づくりをしており,調剤併設型のかかりつけ薬局作りにも力を入れています。中国・四国地方を中心に展開しているディスカウントストア「ダイレックス」は,医薬品だけでなく生活必需品を幅広く扱い,スーパーやホームセンターの役割を果たし成長しています。
5位:マツモトキヨシHD
初任給 | 20,7万円 |
30歳賃金 | 37.7万円 |
平均年収 | 550万円 |
3年後離職率 | 32.5% |
平均勤続年数 | 11.8年 |
有給消化年平均 | 8.9日 |
公式サイト | マツモトキヨシホールディングス |
マツモトキヨシHDは,都市型ドラッグストアの草分け的存在です。インパクトのあるテレビCMで「マツキヨ」という言葉を世間に広め,ドラッグストアの認知度をアップさせました。
店舗展開は,銀座の一等地から駅の改札内,空港内の出店まで,都市型店舗,郊外型店舗など地域の特性に合わせて多様です。さらに,免税に特化した店舗を展開するなどして,インバウンド需要にも応え,観光客へ「MATSUKIYO」ブランドを浸透させたことも,売上に大きく貢献しました。
ほか,ヘルスケア・ビューティー分野では,他ドラッグストア運営企業に比べ強みを持ち,「マツキヨラボ」というヘルスケア・ビューティーの比重を強くした店舗展開を行っています。PB商品の開発,ポイントカードやアプリの導入など,常に新しいことに挑戦している企業と言えるでしょう。
6位:スギHD
初任給 | 20.8万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | 531万円 |
3年後離職率 | N/A |
平均勤続年数 | 9.2年 |
有給消化年平均 | N/A |
公式サイト | スギホールディングス |
スギホールディングスは,調剤薬局を併設したドラッグストア「スギ薬局」を展開しています。薬剤師を積極採用し,処方箋調剤や一般薬のカウンセリング販売に強みを持っています。「かかりつけ薬局」というコンセプトで地域に根ざした店舗展開を行っており,調剤部門にいち早く注力した企業です。
今後の展開に「生鮮食品販売」を強めていったりPB商品の開発を進める方針があり,「ひとつの店舗で顧客の買い物が終わるか」を考えた地方在住者のニーズに応えるための経営戦略をとっています。
7位:ココカラファイン
初任給 | 21.0万円 |
30歳賃金 | N/A |
平均年収 | 476万円 |
3年後離職率 | 27.5% |
平均勤続年数 | 11.6年 |
有給消化年平均 | 10.0日 |
公式サイト | ココカラファイン |
ココカラファインホールディングスは調剤事業を主軸に介護事業なども展開しています。
医薬品,化粧品の売り上げ比率が業界平均よりも高いことが特徴で,カウンセリングを重視した販売姿勢を貫くことにより,専門性の高いドラッグストアを目指しています。九州大学・後藤教授と共同開発したPB化粧品「VIVCO」(ヴィヴコ)はヒット商品のひとつです。
ドラッグストアでありながら,業界トップクラスの調剤実績があり,調剤薬局としてのブランドイメージも浸透しています。超高齢化社会を支えていく会社として,また薬剤師が活躍できる地盤がしっかりしている企業といえるでしょう。